和歌山篇U(南海摩登博覧會)



 

左・右:2008年の11月いっぱい、フランス大使館の後援と文化庁の助成金を得て、銀聲舎が主催、ヒロポンが実行委員長、僕が総合プロデューサーを務める一大アートイベント、南海摩登博覧会を開催した。摩登はMODERNの中国語表記である。会場はここ、南海電車和歌山市駅から徒歩でもすぐのところにある西本ビルヂング。三井住友建設の源流の一つであり、満州などで鉄道建設に活躍した旧西本組の本社として1927年に建てられた可愛らしいオフィスビルで、設計は西本家の親戚である岩井信一。国登録有形文化財となっている。現在は小野町デパートとして和歌山随一の文化のセンターとなっているのだ。



 

左:道路が交差するところに建てられているので、真正面全景は撮りにくいのだが、その代わり離れたところかでもよく見えて地域のランドマークとなっている。ネオ・ルネサンス様式で一階は石貼り、二階三階はスクラッチ張りで、玄関のペディメントとイオニア式柱頭を持つポーチが特徴的である。
右:西本ビル側面。



 

左:西本ビル裏側ファサード。煉瓦の防火壁も残っている。赤いAlfa-Romeo156は当時の僕の愛車。
右:西本ビル三階でふざけて撮影した、セルフポートレイト(笑)。この日は2008年10月31日、博覧会のオープニングセレモニーが行われた。



 

左:側面に残っている防火壁。
右:正面玄関入ったところに設置されていた大看板。



 

左・右:西本ビル一階の様子。



 

左:西本ビル三階よりの光景。
右:西本ビルの階段を三階より見下ろす。装飾がないのは、戦災で内部を消失したためで、オリジナルの階段はもっと装飾豊かだったと思われる。



 

左・右:三階が主会場となったギャラリー。博覧会のオープニングは前北桂像氏の写真展であった。



 

左:西本ビルヂングの真裏のお宅が沢山猫を飼っているので、駐車場でもよく猫が遊んでいる。この仔猫はとてもらぶりぃで人懐っこかった。会期中よく遊んだ。
右:和歌山はご当地ラーメンである「和歌山ラーメン」が有名なのだが、この日の打ち上げはここで。南海和歌山市駅近くに夜だけ登場する「バスラーメン」である。ナンバープレートがあることに注目。つまりよくある「廃バス利用の固定店舗」ではなく、毎晩ちゃんと動いて定位置までやってきて、営業するのである。



 

左:明けて11月1日、遠来の客人たちを案内して弾駅長を訪ねた。これは和歌山電鉄伊太祁曽駅。ここから貴志川線に乗って終点の貴志駅まで、たま駅長に会いにいったのである。帽子をかぶっているのはオープニングセレモニーに出演した御手洗花女女史。
右:伊太祁曽駅周辺。長閑なところであったが、このようにちょっとモダンなお宅も。



 

左・右:大活躍のたま駅長。何しろ、大手私鉄である南海電鉄が「こんな赤字ローカル線はどうしようもない」と廃止しようとした貴志川線である。それを引き取ったのが岡山電気軌道(両備グループ)で、和歌山電鉄はそのときに新設された岡山電気軌道の100パーセント子会社なのだが、珍獣でも血統書付でもない、駅の売店で買われていたごく普通の三毛猫であるたまちゃんを駅長に任命したことによって、見事に廃線間際のローカル線を再生させたのだ。何しろ乗客が十割増だというからすごい。アイディアの勝利である。



 

左・右:走行するうちに、和歌山駅方向から電車が入ってきた。これは玩具電車である。



 

左:伊太祁曽駅は和歌山電車の拠点で、車輛基地には南海塗色のままの電車も停まっていた。写真を撮る御手洗女史。
右:おもちゃ電車に乗り込んでいるヒロポン。



 

左・右:おもちゃ電車の内部。乗客は地元の人と観光客と半々ぐらいか。



 

左:このように、椅子もオリジナルのものに変えられていて、インテリアは相当に凝っている。
右:吊革のリングは木製であった。



 

左:車内に飾られているおもちゃ。
右:がちゃポンもある。



 

左:連結部分はこんな感じ。
右:さて、たまちゃんが駅長をしている終点貴志駅に到着。線路は更に百メートルほど延びて、留置線には保線用貨車などが停まっていた。



 

左:貴志駅に停車中のおもちゃ電車。大人気である。
右:そして、貴志駅の駅長室前に群がって駅長、両助役の写真を撮りまくっている人たち。確かに可愛いが、「お前ら三毛猫見たことないんか〜?!」ともいいたくなる(笑)。「売店で買われていた猫を駅長にした」だけで、殆どお金をかけずに廃止寸前の赤字ローカル線を黒字転換させたんだから、本当にすごい。



 

左:駅長室と、群がる人々。たま駅長だけ三毛で、二匹の茶トラ、故・ミーコとちびが助役である(笑)。
右:寝ている故・ミーコ助役。とても可愛い。ミーコちゃんは2009年7月20日に他界、26日付で永久助役の称号が送られたとのこと。



 

左:只管寝ているたま駅長とちび助役。
右:気をよくした和歌山電鉄は、なんとこのレトロな木造駅舎を破壊、猫型の新駅舎に建替え中である。これはちょっと、やりすぎだし無粋と言うほかない。極めて残念。駅舎左側がたまを飼っている小山商店。



 

左:丁度たまちゃんが「和歌山県勲功爵」に叙されたところだったので、お祝いの花輪が飾られていた。
右:駅の注意書き。



 

左:小山商店前の猫小屋。
右:猫小屋に置かれていた猫皿。



 

左:元々は寂れたローカル線の終点の売店だったろうに、今や大繁盛の小山商店。やはり猫を大切にするといいことがあるのである。そもそも猫嫌いなんて人間は、人間として歪んでいるに違いない。
右:駅長室。



 

左:改札口。
右:駅長室はかつての出札窓口とのこと。



 

左:駅に張られていたポスター。地域経済に対する貢献度はものすごい。
右:やっと駅長の顔が見えたwww。



 

左:確かに、確かに可愛いが、しかしごく普通の猫である。なのに皆写メ撮りまくり(笑)。
右:そして満員の貴志駅ホームに、今度は苺電車が入線してきた。



 

左:停車中のいちご電車と、柱を撮影する御手洗女史。
右:いちご電車。



 

左:なんで苺かというと、沿線の特産品らしい。
右:駅は木造で非常に渋い。



 

左:いちご電車の椅子。
右:いちご電車の車内光景。



 

左:伊太祁曽駅に到着。
右:伊太祁曽駅は和歌山電鉄唯一の有人駅なので、様々なグッズが売られている。



 

左:田圃の中を走る単線の線路。長閑なローカル線である。
右:西本ビルヂング裏の駐車場でひなたぼっこする、茶虎猫。



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