遊廓篇V(五條樂園檢番@)

上:本編は2007年撮影分である。まずは1月31日。京都地方裁判所に行ったあと、裁判所の東側、つまり富小路を下がったときのもの。携帯での撮影である。まずは洋館附設町家。この界隈、つまり「御所南地区」は高級住宅街で豪壮な邸宅が多く、またこのような洋館も少なくない。



上:富小路にて。日本の田舎の役場のような簡素な洋館であった。



上:これも昭和初期ぐらいと思しき歯医者さん。



上:かなり南下、場所的には富小路錦上ル辺り。昭和初期だろう、いわゆる看板建築の範疇に入る事務所建築。



上:続いて3月18日、京都国立博物館にて。古楽のコンサートであった。当サイトでは既に何度も京都国立博物館における古楽のコンサートを紹介しているが、年に数度開催される。この建物は宮廷建築家片山東熊によって1895年に竣工した元帝国京都博物館で、1900年には京都帝室博物館と改称、戦後現在の名称となっている。ネオ・バロック様式の壮麗な建物であるだけでなく、実は明治天皇の京都帰郷時の臨時玉座という機能も持っていた。つまり、同じ片山の手になる赤坂離宮とともに、「日本で二つのみの本物のバロック宮殿」ということになるのだ。そこでの古楽コンサートは、「ルイ14世時代のヴェルサイユ宮」「フリードリヒ2世時代のサン・スーシ宮」を髣髴とさせる豪奢なものである。



 

左:同上。チェンバロの周りに聴衆が集まっている。この建物は当然重要文化財である。
右:京都国立博物館正門。門及び塀も重要文化財に指定されている。



 

左・右:同じく博物館正門。



上二枚:博物館正門と塀。この塔も内部に小部屋を持つ。



上:博物館正門全景。本館も見えている。



上:京都国立博物館本館全景。



 

左・右:いまや世界的ゲーム機メーカーに成長した山内任天堂の旧本社。傾いて見えるのはレンズの煽りのせいで、実際にはちゃんと建っている。下京区正面通り西木屋町東入ル。1930年頃の建物である。



上二枚:山内任天堂玄関周り。かなりモダンなデザインである。



 

左:任天堂旧社屋は、三つのビルヂングの連なりである。
右:これより「遊廓篇」となる。そのまま歩くと、すぐに旧遊廓五條楽園に至る。このお茶屋さんが南限ぐらいか。京の五花街の内には数え上げられていないが、ここも現役の花街である。(※2012年8月16日注記:警察当局の無粋な介入により、2011年に五條楽園の御茶屋は全て廃業してしまった)



 

左・右:妓楼建築そのままで、雰囲気満点の「平岩旅館」。ジャパニーズ・イン・グループに加盟し、積極的に外人客を受け入れているので、バックパッカーが多い。僕も一度泊ったことがある。



上:これは廃業してしまった妓楼。実に立派な建物である。



 

左:同じ妓楼。
右:この界隈は古い仁丹町名表示板も沢山残っている。昭和初期のものである。



 

左:同じく仁丹広告付き町名表示板。
右:同じ建物に二つ付けられている。面している道が違うので、当然ながら書き方も違っている。左は、左の写真のもの。「三ノ宮町通六軒下ル」、右側は六軒通に面しているので「六軒通三ノ宮町西入ル」になる。



 

左・右:妖しい魅力の溢れるタイル張りの妓楼が多いのが、大正から昭和初期にかけての特徴である。



上四枚:高瀬川に面して威風堂々たるファサードが聳える現役のお茶屋、「三友楼」。



上:上で紹介したとんでもなく逆光の写真と同じ位置から、タイル張りのお茶屋。こちらも現役である。



 

左:上のタイル張りの妓楼の角には、僕が「草間彌生石」と呼んでいる角石がある。
右:総タイル張り、アール・デコ調ステンドグラスのある超素敵な妓楼。住んでみたい。



上:同じ建物、「西みかさ」。一階にも大きな丸窓がある。



上:「西みかさ」の玄関。



上:狭い路地に面しているので全景が撮りにくいが、とにかく素敵な建物である。



上:五条楽園の歌舞練場。検番を兼ねている。木造三階の堂々たる大廈。



 

左:五条楽園歌舞練場正面。「五條會館」とも呼ばれている。
右:その近くの現役お茶屋。唐破風の玄関が見事である。



上:スクラッチタイル張り、丸窓にはアール・デコ調のステンドグラスというスタイルながら全体的には非常にモダンな旧妓楼。とても素敵である。



上:窓は新しいサッシに替えられてしまっている。



 

左:同じ旧妓楼。丸と四角を組み合わせたステンドグラスが判る。
右:ステンドグラス。デザインはアール・デコである。



上:同じ妓楼の玄関。洋館だが、玄関は引き戸(扉は新しいもの)。玄関周りのみ、釉薬を施したタイルが用いられている。



左:同じあってものである。下の丸窓は、恐らくステンドグラスが割れてしまったのだろう。



上:玄関脇の窓。



上:この頃アパートの改装された旧妓楼。保存活用は大いに喜ばしいのだが、二階の改装はいささかやりすぎの館あり。右隣も美しい。



 

左:上のアパート妓楼の一階、玄関脇のステンドグラス。
右:美人画ステンドグラスで有名なお茶屋、「浅とみ楼」の洋館部。(2012年8月16日追記:2010年頃破壊されてしまった・゚・(ノД`)・゚・。ウワァァァン!)



上:「浅とみ楼」全景。手前の建物(これもいい建物だった)がなくなったため、このようにファサード全景を見れるようになった。



 

左:「浅とみ」和館部。三階建ての堂々たる妓楼である。
右:洋館部、ステンドグラス。アール・デコ調が多い中、ここは日本画風である。



 

左・右:ステンドグラス詳細。



上:洋館部玄関。両面とも屋外という珍しいステンドグラス。ここも内部は和室であることを思わせる、引き戸の玄関となっている。



上:洋館部軒飾り。



上:玄関庇のステンドグラスを、内側から見る。



上:浅とみ玄関の立派な表札と、骨董照明器具。



 

左:和館玄関。
右:高瀬川沿いにある五条楽園の看板。



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