阪神間・川西篇



 

左・右:2009年6月28日、「港まち神戸を愛する会」のウォッチングで兵庫県川西市を訪問した。阪急川西能勢口駅改札内で集合し、そのまま能勢電鉄に乗り換えてまずは山下駅へ。これは山下駅から川西市郷土館まで歩いた道すがらの光景である。いい天気であった。



 

左・右:旧平安家住宅を利用した、川西市郷土館。豪農屋敷と数奇屋を融合させた近代和風建築(大正中期)で、農家ではなく多田銀山の精錬業を営んでいた一族の邸宅兼精錬所である。国登録有形文化財



 

左:上右の写真のようにちゃんと門があるのだが、母屋には門を通らず直接街路から入れるようになっているところなど、商家風でもある。
右:二重の軒を回した重厚な入母屋造りとなっている。



 

左:門を内側(玄関前)から見る。
右:これが正式な玄関。



 

左:軒下を支える美しい飾り金具。
右:庭に置かれた大きな磁器は精錬に使われたもの。



 

左:これはうち玄関。
右:母屋の前栽に面した縁側。大正時代にこの一枚硝子は大変な贅沢品である。



 

左:夏仕様の座敷。
右:大変に太い大黒柱。



 

左:障子が夏用の蔀戸になっていた。
右:三間ぶち抜きの座敷。



 

左:縁側の床は全て一枚板だった。
右:長い廊下。



 

左:こちらは中庭側の縁側。
右:とこまの天井も一枚板。



 

左:柾目板の天井。
右:障壁画。



 

左・右:仏間の仏壇。



 

左:巨大な神棚。
右:アール・ヌーヴォー風柱時計。



 

左:中庭より、土蔵と離れを見る。釣瓶井戸がある。
右:庭にあった大きな手水鉢。



 

左:釣瓶井戸。台所ではなく庭にあるのが珍しい。
右:お風呂場。タイルが素敵。



 

左;土蔵入口の石段。
右:庭から見た母屋。



 

左:土蔵の腰壁は白タイルだった。これは珍しい。
右:離れの床の間。床柱がすごい銘木である。



 

左・右:庭は母屋と土蔵と離れで四周を囲まれている。



 

左・右:衛生陶器、蛇口など古いものがそのまま残されている。「生きている建物」だと建物自体が大切にされても取り替えられてしまう部分なので、現存するものは極めて貴重。



 

左:男性用朝顔。
右:大用便器。1988年に郷土館となっている。ということは、その直前まで、つまりわりと近年まで実際の住宅として使われていたわけだが、豪邸なのにトイレも汲取りのままで使用されていたようだ。結果として、貴重な昔のトイレが今に伝えられたことになる。



 

左:平安邸は裏庭が元々精錬所だった関係上、敷地が非常に広い。そこに移築されたのがこの平賀邸洋館。平賀義美博士の旧邸の洋館として、1919(大正8)年に竣工して、英国風の舘である。かつては和館も備えた大邸宅であった。
右:こちらが正面ファサード。玄関が見えないが、出窓の向こうである。



 

左:ベイウィンドウの脇に、控えめな玄関がある。ベイウィンドウにはステンドグラスが。
右:横から見たところ。この窓の大きな部屋はサンルームである。



 

左:ここにもステンドグラスが。
右:正面を斜めから見る。屋根は瓦ではなく天然スレート葺である。裏に見えているのは化学実験棟。平賀氏は日本最初の工学博士で、自宅に実験室を設けていたのだ。



 

左:敷地の裏に、旧平賀邸の門も移築されている。マタ、ゼセシオン風の親柱が四本あるのも、旧平賀邸内にあった小橋のものとのこと。邸内に小川があったのだ。
右:広々として気持ちいいところであった。



 

左・右:川西市郷土館の庭。平賀邸の前庭部分は完全に洋風に設えてある。



 

左:ドーリア式柱の上に乗る、平賀博士の胸像。
右:玄関に入る。床のタイルが素晴らしい。そして、洋館につきもののこれは帽子掛け兼ステッキ立てである。二十世紀半ばまで、紳士にとって帽子とステッキは必需品だったのだ。



 

左:玄関床タイル。「日本の洋館」なので、ちゃんと上がり框があった。
右:個人住宅なのに醫院の受付か切符売場のような窓口が。



 

左・右:玄関の窓口の裏側は、書生部屋であった。書生が来客の対応をできるようになっているのだ。



 

左:どういうわけだか無茶苦茶ボケた写真しかないが(´ω`;)、とても素敵な床タイルの廊下であった。
右:外窓だけでなく、屋内にもふんだんにステンドグラスが使われている。



 

左:傾いてしまった下手糞な写真だが、廊下のタイルがかろうじて見える。食堂には大きなホールクロックがあった。
右:で窓のステンドグラスが見える。天井の中心飾りはかなりモダンだった。



 

左:食堂の暖炉。豪奢なつくりである。家具も素晴らしい。
右:壁のブランケット。リバティプリント、もしくはウィリアム・モリス(アーツ&クラフト)風の壁紙が素敵である。



 

左:食堂のテーブル、椅子、暖炉。
右:電気スイッチもすごくお洒落なものが使われている。



 

左:食堂。
右:食堂の隣は、これも本式の洋館にはつきもののサンルームとなっている。



 

左・右:居間にも暖炉が。そして扇風機付の証明が素晴らしい。椅子はアール・ヌーヴォー調であった。



 

左:居間。
右:書斎のステンドグラス。



 

左:書斎。作り付けの本棚。
右:寝室にも暖炉が。



 

左:寝室のベッドもすっごく素敵。この時代の和洋館併設の大邸宅の場合、和館を日常生活の場とし、洋館は接客スペースであることが多いのだが、留学経験がある洋行帰りの平賀博士は、どうやら洋館で生活していたらしい。
右:大理石の洗面台と、美しい鏡。蛇口のデザインも優美である。



 

左:便器も舶来品であった。
右:撮影する伯爵本人が写っている。



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