弐千拾年關東下向記�Y
(甲麓庵歌會第拾七囘關東例會��濱吟行)

左：神戸・トアロードにある関西華僑基督教会は結構趣があるのだが、横浜・中華街にある横浜華僑基督教会はこのようにコンクリート打ちっ放しであった。
右：有名な旅館オリエンタル。

左・右：是非一度泊ってみたい、中華街の東方旅館。ほかに｢オリエンタル旅館｣｢オリエンタルホテル｣｢東方酒店｣｢東方旅社｣などと称しているようだ。

左・右：外人墓地の元町側の門。ここから墓地に沿って山手へ登っていった。

左：ブラフ積みの石垣。
右：横浜地方気象台庁舎。神戸には｢日本最初の海洋気象台｣たる神戸海洋気象台がある。海洋気象台は管区気象台と同格で、地方気象台より上位である。こういうところに都市の｢格式｣が現れるのだ。なりあがり者がいかにあがいてもどうにもならない部分である。因みにあまり知られていないが、名古屋も管区気象台はなく、かろうじて地方気象台のみが設置されている都市に過ぎない。

左：アール・デコ調の横浜地方気象台正面玄関。露出オーバーに写ってしまったが、美しい建物である。1927年竣工、設計は横浜市営繕管財課。
右：石垣共々横浜市有形文化財に指定されている。

左：神戸市立外国人墓地は再度山の奥にあってフラッと散歩に行けるような立地ではないが、日本の主な港町では珍しく｢山のない｣都市である横浜外人墓地は丘の斜面なので、近付きやすい。これは正門。
右：飛行機のレリーフがある真新しい墓もあったが、その四つ隣のケルト十字のほうが目を引く。

右：坂を登りきったら、いきなり廃墟に出会った。
右：レストラン｢山手十番館｣。実は1967年に建てられた現代建築なのだが、木造で細部までちゃんと異人館している。なかなかの出来である。

左・右：山手地区外から移築されたものではあるが、横浜で唯一の明治期の｢異人館｣である旧中沢邸洋館(現山手資料館)。但し元々は豪壮な和館に付随する迎賓館として建てられたものでしかも日本人大工の作品だから、主に外国人建築家が外国人のために建て、和館を持たず単独で住居として成立していた神戸や長崎の｢異人館｣とは血統が違う。｢横浜｣｢明治期｣とはいえ｢西洋館｣｢洋館｣と呼ぶほうが適切かもしれない。1909年(明治42年)に本牧に建てられ、そのあと二度の移転で現在地に来たとのこと。

左・右：資料館から道路を隔ててすぐ隣に、日本聖公会横浜山手聖公会(横浜クライストチャーチ)のゴシック伽藍が聳えている。そこそこの規模だし、ゴシック様式で立派だし、歴史もあるのに、何故だか聖公会神奈川教区の主教座カテドラルはここではなく、建築的には全く面白くもなんともない横浜聖アンデレ大聖堂となっている。

左・右：横浜山手聖公会。大きな塔が正面ファサードのほぼ全部を占めている。現在の建物は1931年にジェイ・ヒル・モーガンの設計で建てられたが、1945年の空襲、2005年の放火と、二度も米帝(アメリカ人)によって内部を消失し、その都度再建されたものである。

左：クライストチャーチの真正面、外人墓地内にピラミッド型墓碑があった。フリーメイソン関係者だろうか?
右：これが本日の歌会を催す、山手234番館。1927年に外人用アパートとして建てられた簡素な洋館で、設計者は朝香吉蔵。

左：山手234番館玄関。
右：同、正面ファサード。

左・右：そのすぐ隣、山手89-6番館（現｢えの木てい｣）。設計者はこちらも朝香吉蔵。

左：｢えの木てい｣主階段。手摺りを見れば判るように、踊り場から向こうはまた裏階段が一回へと下りている。踊り場から左へ二階への階段があるのだ。変わった構造である。
右：二階個室の暖炉。

左：｢えの木てい｣二階個室。予約をすればロールキャベツが食せるらしい。窓は勿論分銅式上げ下げ窓。
右：二階廊下より踊り場を見下ろす。そこから左へ裏階段、右へ主階段が一階へつながっている。

左：柔らかい雰囲気の｢えの木てい｣二階廊下。
右：踊り場から正面玄関を見下ろす。

左：いよいよ山手234番館の中。かなり改修し過ぎているが、一階は各室に暖炉が残されていた。

左：通風及び採光用だろう、非常に狭い中庭があった。
右：歌会の会場となった二階会議室から隣の｢えの木てい｣を見る。

左・右：このアパートは港の見える丘の尾根筋に建っているので、正面道路を渡って元町公園に入るとすぐに崖だし、裏もいきなりかなり急峻な崖となっている。

左：歌会が終わるとそろそろ薄暮であった。山手234番館と｢えの木てい｣。
右：｢えの木てい｣。

左・右：234番館の真向かい、元町公園の生垣を高速で移動するにゃんこ。

左：ボヘミア人建築家アントニン・レーモンド設計のエリスマン邸。竣工は大正末年。
右：田舎の結婚式場かラブホテルか、はたまた成金の御殿か、とにかく｢悪趣味を極めた｣というほかない非常にひどく下品な建物があったのだが、地図で見ると何とフェリス女学院であった(￣□￣;)!!　唖然とするほかない。｢美の極致｣とでも言うべき神戸女学院の素晴らしいキャンパスとの差、幾らなんでもありすぎるだろう。神戸と横浜のセンスの違いもあろうが、それよりも我等が慈愛に満ちた会衆派教会と、糞便にも劣る邪悪な改革長老派教会との違いであろう。改革長老派(東京神学大学)の蛇蝎の如き｢ご立派｣なクリスチャンの皆さんの際立った特徴は｢不寛容｣｢愛のなさ｣｢尊大｣｢傲慢｣｢ナルシシズム｣｢独善｣｢欺瞞｣｢偽善｣｢人を愛さないけど、人を裁くのは大好き｣｢自分は常に正しいから自分は絶対に裁かない｣｢誰に対しても上から目線｣などであるから、美意識が歪なのもむしろ当然なのだ。要するに連中は｢現代基督教界におけるパリサイ人｣に他ならない。

左：山手地区最大の洋館、ベーリックホール。ジェイ・ヒル・モーガン設計で、ベーリック邸として1930年に建てられた。
右：猫の美術館へ向かう。ベーリックホールとエリスマン邸の間の小径を元町に向かって下るのだが、その右手、元町公園内に山手80番館遺蹟がある。明治期の異人館の土台で、関東大震災で崩壊したもの。

左：小道からベーリックホールの裏側を見る。
右：猫の美術館への道程だけあって、案内するが如くにゃんこが沢山いた。可愛い。

左・右：猫の美術館を探していると、この洋館に出会った。山手76番館である。今も個人住宅として現役なのがいい。

左・右：山手76番館。設計者、竣工年とも不明なるも、昭和も二桁に入ってからだと思われるモダンな洋館であった。

左：これが横浜猫の美術館。とても素晴らしいところだった。
右：元町商店街まで下りた。かっこいい名前の薬局。

左：その夜のみぃあ嬢。
右：24日は一枚の写真も撮っていない。そして最終日の25日、僕、龍丸、ラ・リュミエールさん、洋子ちゃん、rjuka君の五人、車で箱根に向けて出発した。中仙道国道17号線を都内に向かうと、池袋でこの｢歴史発見館｣を発見した(笑)。三角形の狭小な土地にたったビルに、何ともいえないセンスで城が描かれている。｢売ビル｣と書かれてはいるが、せめて壁は普通に戻さないと売れないだろう。しかも相当老朽化が進んでいる。

左：空きビルというよりもはや廃墟だが、入ってみたいもんだ。(龍丸撮影)
右：明治通りで見つけた、一見ごく普通の立ち食いそば屋。しかし、どうやら焼きそばが名物らしい。かなり変わっている。

左・右：車窓より、｢成女｣と書かれたビルを発見。京都であれば旧成安女子短大(成安造形大学)だとすぐにピンと来るのだが、東京はなんだろうと思ったら、こちらも学校であった。成女学園である。

左・右：箱根に行く前に、千代田区番町に皿屋敷ならぬマイミク・アリス女史のお屋敷を訪ねた。そのご近所で見つけた、とても可愛い兎レリーフのあるお宅。

左：九段下にて。さすがに｢日本で最も右より｣なスポットだけあって、｢日本叙勲者顕彰協会｣なんていう団体があった。
右：有名な九段下ビルだが、ますます廃墟じみてきている。何とか保存活用が望まれるところだ。1927年竣工、設計は南省吾。(いずれも龍丸撮影)

左・右：龍丸が撮影した東京慈恵会医科大学F棟。｢慈恵大学｣という大学はないのに、大学名は｢東京慈恵会｣、学校法人名は｢慈恵大学｣という珍しい例。1932年の竣工らしい。

左：白金にて、ふざけた名前のビルがあった。明るいビルである。
右：同じく白金。廃墟化した大規模団地群があった。旧都職員公舎らしい。(いずれも龍丸撮影)

左：白金台の東京大学医科学研究所。東大は医学部付属病院のほか、医科学研究所付属病院も持っている。阪大も医学部のほか歯学部も付属病院があり、かつては大阪大学微生物病研究所付属病院もあった。ともあれ、隣の旧国立公衆衛生院とともに名建築なのだが、公衆衛生院は廃墟となっている。(龍丸撮影)
右：小田原市内にて、龍丸撮影。

左・右：小田原市内も近代建築が沢山あるのに、いつも車で通過するだけ。一度はゆっくり訪ねたいものだ。龍丸撮影の柴田商店。昭和初期の看板建築だろう。

左・右：とうとう箱根に到着。底倉温泉の｢函嶺｣で入浴した。大正時代に｢函嶺醫院｣として建てられた木造洋館である。当サイト二度目の登場だが、入浴するのは始めてであった。

左・右：｢函嶺｣からは谷向こうの宮ノ下側の国道沿い廃墟群がよく見える。

左：医院時代そのままの室内が見える。
右：和洋折衷の獅子脅し(笑)。

左・右：入浴後は医院時代待合室であったと思しきロビーでしばし寛ぐ。ロッキングチェアーがあった。

左：ロビーの天井。
右：宮ノ下側、廃墟になぜか意見看板があった。

左：あちこち消されてもはや意味不明。
右：箱根湯本駅まで龍丸、洋子ちゃん、ラ・リュミエールさんを送ってから、いよいよrjuka君と二人、延々と西上して上方を目指した。これは仮眠した富士市のコンビニ駐車場にずっと停まっていた｢痛車｣。僕らも二時間ぐらいいたのだが。

左・右：大阪府に入った!!　柏原市内に駄洒落としか思えないふざけた名前の老人保健介護施設があった。

左：近代建築として紹介されているサイトやブログを見たことがないが、1929年に操業を開始したという関西電力八尾変電所。キュビズムとでもいうべき面白いスタイルである。
右：いよいよ大阪市に入った。物凄いセンスの魚買い取り屋(そんな業種があるとも知らなかったが)、｢キングコング｣。

左：阿部野橋駅でrjuka君を降ろして、いよいよあとは一人で甲麓庵を目指す。これは大手前看護専門学校となっている旧阿部野橋ホテル。1931年竣工のスクラッチタイル張りの部分と、1935年竣工のクリーム色のタイルの増築部分に分かれるが、いずれも鈴木太吉設計、施行は八木工務店である。
右：異常な教会の異常な車。明らかに定員オーバーで、見てのように相当傾いている。何しろ各列四人以上、計16名以上は乗っていた。重すぎてブレーキが利かないようで、坂道停車では後退してきた(￣□￣;)!!　危うくぶつけられるところだったのだ。｢基督教平野教会｣で検索しても出てこなかったが(まさか在日大韓基督教平野教会ではないと思われる)、こういう所属教派を書かない教会は、十中八九超保守の福音系単立教会だろう。ぴょんぴょん跳ねながらゴスペルを唄いつつハレルヤと叫ぶような、実に気持ち悪い連中である。糞尿以下の存在である改革長老派が｢愛を知らない歪んだインテリ｣であるのに対し、保守福音派は｢まだ人間に進化しきっていないお粗末な知能の連中｣といえようか。何しろいまだに進化論を否定し天地創造を頭から信じているのである。信仰ではなく迷信そのものというほかない。

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