大阪篇09年撮影分Z



 

左・右:前章に引き続き、2009年5月6日撮影分、吉田鉄郎の代表作にして本邦に於ける戦前のモダニズム建築の到達点である、大阪中央郵便局庁舎である。竣工は1934年。新緑が美しい。



 

左・右:全面硝子張りの階段室。初期モダニズムの真骨頂である。



 

左:南西角の階段室を南面から見上げる。
右:南側ファサード。



 

左:南西角。
右:その下部。西側一階はプラットフォームになっている。



 

左:門衛所。
右:西側ファサード。



 

左:このように、大型トラックが同時に何台もつけられるようになっている。
右:積み込み作業。



 

左:庁舎西側からは、JRの高架の向こうに、新梅田シティの梅田スカイビルが見える。
右:梅田スカイビル。1993年、原広司設計。



 

左:門衛所はこのように、大庇の下にすっぽり収まっている。
右:庁舎と、その南向かいのハービスエント



 

左・右:営業室のみならず、全館にわたって完全な状態で保たれている窓。



 

左・右:南西角を二枚。



 

左・右:更に二枚。



 

左・右:向かいのビルの上階から中央郵便局庁舎を撮影しようと、ハービスエントに入る。ここは21世紀になってからの建築だが、このようにアール・デコといっていい美しい空間となっている。設計は有名建築家ではなく大阪のゼネコン、竹中工務店設計部だが、金さえかければこれだけのものがデザインできるわけである。阪急百貨店梅田本店の新しいビルのあまりに酷い醜さとは大変な差異である。こちらは、阿呆の村上のせいで阪急と経営統合する以前の阪神の建物である。阪神と阪急のセンスの差が歴然で、つくづく阪急と経営統合されてしまったことが惜しまれる。
 それにしても、この大規模な複合ビルは、関西圏外では殆ど知られていない。六本木ミッドタウンなど東京の情報は全国レベルで報道するくせに、関西の情報は殆ど報じない今のマスコミのあり方には、大いに疑問を抱かざるを得ない。



 

左・右:エスカレータのデザインも洒落ている。



 

左:吹き抜けを見上げる。
右:二階のオープンカフェから、中央郵便局を見る。「近代都市美の極致」といっていい景観である。



 

左:同じく、ハービスエント内から見た中央郵便局。
右:ハービスエントのエスカレータ。特注品である。



 

左・右:いずれもハービスエントのエスカレータ。



 

左・右:ハービスエント内、エスカレータ周り。とにかく非常に豪奢かつ洗練されている。



 

左・右:ハービスエントから見た、大阪中央郵便局と梅田スカイビル。



 

左:硝子張りの階段室を見る。
右:南側ファサード。



 

左・右:庁舎は五階建てだとされているが、屋上の半分以上の面積を占める大きなペントハウスがあり、実質七階建てであることが判る。



 

左・右:西側ファサードと階段室付近。



 

左:西側ファサードと新梅田シティ。スカイビルの左側はジ・ウェスティン大阪。
右:更に上階に上り、庁舎の屋上を見る。



 

左:屋上東側。建設中のビルは大阪駅北ビル(三越伊勢丹百貨店になる予定)
右屋上西側。



 

左:階段室の造形は何枚撮っても素晴らしい。
右:南側ファサード見下ろし。



 

左:屋上の大看板のPOSTの文字が裏側から見えている。
右:南側。



 

左・右:五月の段階ではまだ営業していた、旧阪急百貨店梅田本店北側。世界初のターミナルデパートとして、建築史上のみならず商業史上、近代史上大変貴重な文化遺産だったのだが、偉大なる創業者小林一三の遺産を全て破壊するつもりらしい無能な現経営陣によって、全て破壊されてしまう。



 

左・右:こちらが、この当時はまだオープンしていなかった阪急百貨店梅田本店の新ビル。見ての通り、旧本店の「安手の劣化コピー」を下駄に、上にこれまた何の芸も美意識もない醜悪な超高層棟を重ねるという、「これ以上不細工なビルを建てようと思っても無理」というべきひどい代物である。
 阪急は、阪神間「細雪」文化圏を商圏とし、私鉄系デパートでありながら呉服屋系老舗百貨店に伍する格式を誇る老舗であった。それには、昭和初期に建造された華麗なるデパートメントストアであった旧本店、文化財級の美しく貴重な建物であった旧本店の存在が大きかったのだ。あの歴史的名建築を破壊するからには、次に建てるものは「21世紀初頭の代表的建築」として歴史に残るだけのものを建てる企業としての責務があろう。ところが、この体たらくである。あきれ返るほかない。



 

左・右:不細工な高架道路(新御堂筋フリーウェイ)のせいでファサードの撮影が非常に難しい、宇治電ビルデイング。ここはその名の通り、放射能汚染で人類滅亡を目論むガミラスの如き悪の秘密結社、関西電力の所有なので、破壊されてしまうとの噂が絶えない(-公- ;)。



 

左:宇治電ビル正面ファサード。宇治電というのは関西電力の前身、宇治川電気で、戦前の五大電力(東邦電力東京電燈大同電力、宇治川電気、日本電力)の一つであった。長谷部・竹腰建築事務所により、1937年に竣工した、非常にモダンなビルヂングである。
右:殆ど装飾のないこのビルの北向き正面ファサードの両端に、雲と稲妻と女神のレリーフがある。これは東側。



 

左:西側のレリーフ。デザインは同じである。
右:この位置まで来て、ようやくファサード全景をほぼ見通せる。



 

左・右:曽根崎通り(国道一号線)を挟んで宇治電ビルヂングの向かい側にあった、喫茶店なのだが、「喫茶店」ではなく「御茶室」となっていた。



 

左:曽根崎通を渡り、いよいよ宇治電ビルヂングに近付く。実にすっきり美しく、しかも現代建築にはない温かみのあるデザインである。
右:電気の女神。



 

左・右:宇治電ビルデイング正面玄関。残念ながらシャッターが下りていたが、レタリングが素晴らしい。



 

左・右:北西側角附近。



 

左:正面にはバルコニーが架けられている。
右:西側。郵便局が入っている。



 

左:郵便局玄関。地下には食堂も入っている。
右:南裏は駐車場になっている。この界隈、都心ながらも低層の街並みが近年まで残っているところ。



 

左・右:ビル街の場合は化粧タイルは正面のみということもあるのだが、低層建築の多いエリアなので、南側も含め全面にタイルが貼られている。



 

左:可愛いわんこ。
右:画廊と骨董店の街、老松町通りから、ニッセイ同和損保フェニックスタワーを見る。大阪に本拠を置く大手損保会社だが、2010年には大合併することが決まっている。大阪から大手企業がどんどん消えていって、実に腹立たしい。



 

左:老松町通りの反対側。
右:戦後のものではあろうが、ひょっとして木造かと思わせる古風な雰囲気の真砂ビル。この界隈、大阪高等裁判所・地方裁判所が近いので、画廊と骨董店のほか、弁護士事務所がやたらに多い。



 

左:真砂ビルをもう一枚。なかなかいい感じである。
右:その隣の二階建て雑居ビル。これはもう確実に木造だろう。



 

左:なんと蔵付の古い民家もあった。質舗である。
右:裁判所裏にひっそりとたたずむ、しかしかなりの規模の近代建築、大江ビルヂング。中央電気倶楽部と同じ葛野設計事務所(葛野荘一郎)の設計で、大正10(1921)年竣工である。



 

左:南東角に正面玄関を持つ大江ビルヂングの、これは東側ファサード。画廊や紙の専門店などお洒落な店も入っている。
右:これは裏側に当る、北側ファサード。



 

左:北側ファサード見上げ。
右:北側裏玄関。



 

左:東側下部。
右:東側上部。



 

左:敷地の形から、鋭角となっている南東角をうまく利用して視覚に訴える正面玄関となっている。
右:正面最上部には不思議な破風がついている。



 

左:破風のアップ。この角部屋は気持ちよさそう。
右:玄関のアップ。庇の造詣が個性的。



 

左:大江ビル前にある、レトロモダンな変電所。
右:積水化学本社ビル前(水晶橋北詰)交叉点の横断歩道。かつて僕が、朝日放送テレビで「渡った先で歩道に入れない横断歩道」と指摘したことがあるのだが、このように植え込みが切り開かれていた。僕が行政を動かしたらしい。



 

左・右:非常に美しい水晶橋。堂島川に架かっている。土佐堀川に架かる錦橋と共に人道橋であり、そして可動堰であった。1929年に架けられ、その後水門が撤去され純然たる橋となっている。上を走るのは阪神高速環状線。不細工である。



 

左・右:水晶橋の上から見る中之島の二大重要文化財、府立中之島図書館と市立中央公会堂。

 

左:水晶橋の親柱と図書館。
右:ひどい改装でピカピカにされてしまった公会堂。右のスロープも非常に不細工。



 

左:改修時に取り出された古い煉瓦壁と、照明塔の基壇。
右:新調復元された石の基壇と照明。



 

左:文化の破壊者朝日新聞によって破壊工事の真っ最中である新朝日ビル=フェスティバルホール。ストラヴィンスキー、ベーム、フォン・カラヤン、オーマンディ、セル、そして朝比奈隆と、綺羅星の如き往年の大指揮者がステージに立った文字通りの檜舞台であった。
右:戦後モダニズムの傑作、村野藤吾の新ダイビルも破壊が決まっている。1958年と築五十年を越えたので、登録有形文化財になれるのだが、所有者の見識がゼロなので如何ともしがたい。



 

左:新ダイビル。
右:レトロモダンな相互タクシー営業所のシリーズ。これは北新地乗場。



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